今谷明『日本中世の謎に挑む』NTT出版
です。
先日紹介しました今谷氏の著書『京都・一五四七年』で本書が触れられていたので、読んでみました。
書名は『日本中世の謎に挑む』となっていますが、「中世の謎を解明してゆく」といった内容ではなく、今谷氏の半生記といったもので、氏の学者としての経歴や学問の遍歴について語っています。言ってみれば、「今谷氏がどのように中世の謎に挑んできたか」という内容です。
『京都・一五四七年』を初めとして、今谷氏の主要著作についての著者自身の思い入れや本意などが叙述されていますが、学問的な叙述はあまりありません。各著作についての今谷氏の最新研究成果でも乗っていれば面白かったと思うのですが、そのようなこともあまりなく、歴史書として読むといささか期待外れになってしまうのではないでしょうか。
とはいえ、一人の歴史家がどのように誕生したのか、という内容ですので、これから歴史の専門家になられる方が読まれれば、参考になったり、勇気づけられるのではないでしょうか。
ただし、今谷氏自身が「私の歩みが歴史学会の主流と受け取られては非常に困る」と述べているように、今谷氏の経歴は経済学部を卒業、一度は官僚となりながら、紆余曲折を経て歴史学者となったという特殊事例です。よって、学者を目指すための一般的な指針とするのは難しいとは思います。

