笹本正治著『軍師山本勘助』新人物往来社
です。
この本は前回の平山優氏の著書とは全く逆に『甲陽軍鑑』に描かれた「山本勘助」の言動が如何に矛盾に満ち、いかに信用できないか、ということを切々と語る内容となっています。
具体的には天文13年(1544)の話として、毛利元就は中国地方のほとんどを切り従え・・・と書いてあるが、毛利氏がこのような版図を持ったのは、この後の話であり年代が合わない、といった具合です。
つまり、著者は『甲陽軍鑑』に描かれた「山本勘助」は、あくまで創作されたものに過ぎないと言っているようです。
その昔、これも武田氏研究家として著名な柴辻俊六氏から「抹殺博士」に例えられた著者の面目躍如といったところでしょうか。
山本勘助のファンの方は、気分を害するような内容ですが、この本は『甲陽軍鑑』に描かれた山本勘助像について、警鐘をならすという意味で非常に重要な本だと思います(今まで勘助について否定的な見解を述べる人もいましたが、これほど『甲陽軍鑑』と正面から向き合い検討したものはなかったと思います)。

