水藤真『棟札の研究』思文閣出版
です。
本書は、題名の如く「棟札」に関する本なのですが、「よくもまぁこんな内容の本が一般書で出版されたなぁ〜」っていう感じです。値段も3800円(税別)ですから、高価という程でもありません。
とはいえ、棟札は『戦国遺文』を初めとする古文書集にも数多く掲載されておりますが、一般の古文書と違い解説書等も少なく、その意味でこの本は最良の一冊と呼べるのではないでしょうか(とはいえ、参考文献を見ますと棟札関係の文献が意外に多いのには驚かされます)。
内容は、棟札が作られる状況、歴史的変遷、様式、書かれている内容、保管状況、数枚のセットの棟札など、多角的に考察されています。特に様式論などについては、全くバラバラという訳ではないものの、作られた事情や地域的な差異などにより、多種多様で様式的・内容的な分類がしずらい棟札の特徴が数多くの例によって解説されております。
ただ、棟札に書かれた文言の内容については言及が少なく、著者自身も『棟札用字用語辞典』の作成が望まれるとしているように、この本を読んだからと言って、棟札に書かれている内容が全てわかるというものではありません。あくまで棟札の多様性やその資料的な価値が理解できる文献といった方が良い内容と言えます。
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