今谷明『戦国三好一族』洋泉社MC新書
です。
この本の原本は1985年に刊行ですから、20年以上前の本ですので、最新の研究と比べると古さを感じさせる点が多々あると思いますが、それでも畿内の戦国史を概観する上で、最も手ごろなものと言えるのではないでしょうか。
内容は室町幕府という旧権力と、三好氏(特に長慶)という新権力のせめぎ合いが描かれております。結局、三好氏は室町幕府体制を崩すことが出来ずに終わる訳ですが、著者は、「百歩譲って、信長以前の畿内政権という面からだけを見ても、幕府権力を形骸化し、信長が試行錯誤をした同じ過程を、数十年前に行った意義は決して小さくない」と高い評価をあたえています。
このような高い評価をあたえている一方、要所で織田信長との比較を行っているところは、非常に興味深いところです。「一切を冷酷に押し切った信長の割り切り方をできなかった長慶の悲劇があったのだ」という言葉にすべてが表わされておりますが、悪く言えば優柔不断、良く言えば人格者であった長慶の性格が、新時代を開かせる可能性を消してしまったと、厳しい評価も与えているのです。このあたりは、三好氏に興味のある人だけでなく、信長のファンにも是非読んで欲しいところです。
さて、余談ですが私はこの本を読んで、初めて松永久秀をカッコイイと感じました。永禄4年(1561)から5年にかけて、六角義賢・細川晴元・畠山高政らに攻められ、長慶は飯盛城に籠城を余儀なくされてしまいます。久秀は、その長慶を救い、最後は天下分け目の教興寺の戦いで勝利を呼び込みます。これだけでも久秀は英雄と言えるのではないでしょうか。
以上、畿内の政治史は門外漢のため、ただの読書感想文になってしまいました。

